タイ・バンコク 賃貸価格動向(家賃動向)2019

2019.10.25

BANGKOK-TIMES

タイ・バンコクの賃貸価格動向と賃貸価格上昇の原因を簡単にまとめました。家賃補助設定の際のご参考にされてください。
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 バンコクの主要物件賃貸価格推移

世界経済に多大な影響を与えた2008年のリーマンショックから2011年頃までは値下がり傾向にあったバンコクの賃貸価格は、タイ経済が上向きだった2012年頃から日系企業を中心とした外国企業の増加とともに再び値上がり傾向にあります。過去10年間の家賃推移は下記の通りです。

主要サービスアパートの家賃推移

(アルファベットホーム調べ)

バンコクの主要サービスアパート
Shama Lake View Centre Point Thonglor
Jasmine City 23 Somerset Thonglor
Emporium Suites The Aetas(2020年閉鎖)
Marriott 24 Marriott Sathorn Vista

主要アパート2Bedroomの家賃推移

(アルファベットホーム調べ)

バンコクの主要アパート(2Bedroom)
Klasse Residence AP Suites 33
Mela Grande 39 Boulevard
Prasanmitr Place Park Thonglor
The Residence 24 Grand Villa

主要アパート3Bedroomの家賃推移

(アルファベットホーム調べ)

バンコクの主要アパート(3Bedroom)
Grand Mercure UN Residence
The Grand Sethiwan Baan Jamjuree
Casa 24 Grand 39 Tower
31 Residence Thonglor 11 Residence

世界経済に大きな影響を与えた2008年のリーマンショックを機に、欧米企業を中心とした外資系企業の投資減退から値下げ傾向にあったバンコクの賃貸価格は、2010年頃から再び上昇傾向にあります。バンコクの賃貸価格上昇の原因はなんなのでしょうか。

 経済発展による不動産価値の上昇

GDP

(参照:International Monetary Fund – World Economic Outlook)

他のASEAN諸国と比較すると成長率は緩やかではありますが、タイの実質GDP成長率は2014年以降前年比を上回っており、まずまずの成長を続けています。

タイ人の賃金

タイ人の平均賃料も年々増加傾向にあります。特にバンコクの賃金は上昇率が高く、2008年には、194Baht/日だった最低賃金が、2018年には310Baht/日と約150%も上昇しています。

地価の上昇

実質GDP成長率、人件費の高騰からもわかる通りタイ経済は発展し続けています。経済発展に伴い地価も上昇しており、特に外国人が多く住むバンコクの中心地の地価は近年でも大幅に上昇しています。

(参照:The Treasury Department)

地価の上昇で土地の仕入れに資金が掛かることに加え建築資材の価格も高騰していることから、以前よりもワンオーナーの物件(*1)が建ち難い状況にあります。特にお部屋の広さが必要になる家族用のアパートは、2010年以降ほとんど建設されておらず、新築物件のほとんどは、分譲型のコンドミニアムとなっています。そのため、2000年以降に完成した比較的築年数の浅いアパートやサービスアパートは、高い需要を維持しており家賃価格も上昇傾向にあります。
[*1:分譲されないアパート&サービスアパート]

不動産販売価格の上昇

地価の上昇、建築資材の高騰によりバンコクの新築コンドミニアム(分譲マンション)の販売価格も年々値上がりしており、2007年には「71,000Baht/sqm」だった新築コンドミニアムの販売価格が、2018年は「140,600Baht/sqm」と、ここ10年程度で約200%上昇しています。

(参照:International Monetary Fund – World Economic Outlook)

新築コンドミニアムの販売価格の上昇により中古コンドミニアムの販売価格も上昇しており、当然のように賃貸価格も年々上昇しています。特に日本人を含めた外国人の多く住むバンコクの主要エリアのコンドミニアムは投資価値が高いため人気が高く、販売価格、賃貸価格ともに大幅に上昇しています。

 在留日本人・日系企業の増加

タイ在留邦人数は、2016年時点で70,000人を突破しています。そのうち、長期滞在者(民間企業関係者や政府関係者およびその家族)は40,000人以上となっています。

(参照:JETRO)

タイの日系企業数はバンコクを中心に年々増加しており、2017年時点で5,444社(日本側株主の企業数は4,660社)と過去最高を記録しています。以前は製造業の進出が多くみられましたが2000年以降は非製造業の進出が著しく、2017年時点で製造業が全体の43.09%、非製造業が全体と53.09%となっています。

(参照:JETRO)

進出地域別では、バンコク:2,840社、チョンブリ:639社、サムットプラカーン:581社、パトゥムタ二:293社、アユタヤ:261社となっています。チョンブリ県を覗くエリアの企業の駐在員は、生活環境や日本人学校の関係などを考慮しバンコクの主要エリアに住居を構えることが一般的である。そのためバンコクの主要エリアの住居需要は当然高まることになり、バンコクの賃貸価格上昇の原因になっている。

県名社数比率
1バンコク2,84052.2%
2チョンブリ63911.7%
3サムットプラカーン58110.7%
4パトゥムタム2935.4%
5アユタヤ2614.8%
6ラヨーン2514.6%
7チャチェンサオ1262.3%
8プラチンブリ661.2%
9サムットサコン581.1%
10ノンタブリ440.8%

(参照:JETRO)

上記の表のうち、チョンブリ県とラヨーン県の企業の駐在員の方は、比較的日本人の方が生活する環境の整ったチョンブリ県のシラチャにお住まいのことも多いですが、それ以外の地域の駐在員の方は、生活環境や日本人学校の関係などを考慮しバンコクにご住居を構えることが一般的です。そのためバンコクの主要エリアの住居需要は日系企業の駐在員の増加とともに需要が高まっており、バンコクの賃貸価格上昇の原因になっています。

 タイ・バンコクの観光客数の増加

バンコクの外国人観光客は増加の一途を辿っています。2016年には300万人程度だった観光客数が、2018年には約1,400万人とおよそ450%も増加しています。特に中国人観光客の増加が著しく、2010年頃までは日本人観光客数に対しそれほど差がなかった中国人観光客数が2018年には1,000万以上と日本人観光客数を大きく引き離している現状です。

(参照:Ministry of Tourism and Sport, Thailand)

観光客数の増加に伴い当然のようにホテル需要も高まっています。2012年以降、ホテルを兼任するサービスアパートは安定収益である長期契約(住居としての年間利用)よりも収益率の高い短期契約(ホテルとしての利用)を重視する傾向にあり、ホテル利用のための部屋数を確保する目的で長期契約の受付を止めたり、長期契約の賃貸価格を値上げする傾向にあります。サービスアパートの賃貸価格上昇は、アパート、コンドミニアムを含めたバンコクの賃貸価格全体を連鎖的に上昇させる一因になっています。

 今後(2020年以降)の賃貸価格動向

データ上はバンコクの賃貸価格が上昇し続けているような数値になっていますが、実感的には2017年頃をピークにバンコクの主要エリアに住むような日系企業の駐在員数は横ばいもしくは多少の減少で推移しているように思います。実際にバンコクの主要アパートやサービスアパートでも以前より空室が目立つようになり、賃貸価格の値下げなどのプロモーションを実施している物件も少なくありません(人気物件の賃貸は上昇を続けています)。管理面やTM30などの問題のあるコンドミニアムはなおさらです。

また、タイの自動車販売数、自動車生産数ともに2012年をピークに減少傾向にあり製造業が順調とは言い難い状況であることから、バンコクの賃貸価格が以前のように上昇していくことは考え難い状況と言えます。

(参照:JETRO)

(参照:JETRO)

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