2023.12.07
2010年以降、バンコクの中心地スクンビットに建設される物件は、大手運営会社が手がけるサービスアパートと大手デベロッパーが手がけるコンドミニアムが中心になってきており、お子様連れのご家族をターゲットにしたアパートが建設されてない傾向にあります。
1979年 | サミティベート病院開業 |
1982年 | 日本人学校が今のRAMA9へ移転 |
1997年 | エンポリアムデパート開業 |
1999年 | BTS(スカイトレイン)開通 |
2004年 | MRT(地下鉄)開通 |
2011年 | ターミナル21デパート開業 |
2012年 | ゲートウェイデパート開業 |
2015年 | エムクオーティエデパート開業 |
2023年 | エムスフィアデパート開業 |
バンコクの駐在員向けのいわゆる高級物件は1970年頃より元々日本人学校があったプルンチット/チットロムエリアを中心に建設されたと言われています。1982年の日本人学校移転を皮切りに1980年中期からスクンビットエリアで豪華で広い物件がアパートを中心に数多く建設されるようになりました。2000年頃からはタイの経済成長も相まってバンコク中心地で建設ラッシュが起こり、 2010年頃からは中心地以外のBTS沿線、MRT沿線でも急速に開発が進み今日まで続くバンコク全体の建設ラッシュが加速していくことになります。
1990年代まではアパートを中心に建設されていましたが、2010年頃から建設される物件はコンドミニアムが中心となり、アパートの建設は極端に減少していっています。バンコク中心地以外のエリアにできる物件の殆どはコンドミニアムで、バンコク中心地でも下記の理由で新たに建設される物件の多くがコンドミニアムもしくはサービスアパート(ホテル)ばかりです。
・タイ経済成長による大手コンドミニアムデベロッパーの台頭
・タイ経済&観光業成長による世界的サービスアパート運営会社の台頭
・タイ経済の成長によるバンコク中心地の地価、人件費及び建築資材の高騰
バンコク地価、建材、人件費の高騰により、バンコク中心地に建設される多くは分譲目的で建設される大手デベロッパーのコンドミニアムが中心になっており、コンドミニアム以外では世界的大手運営会社が携わるサービスアパートもしくは大手ホテルチェーンが手がけるホテルが多く、一個人のオーナー様の資産で建設されるアパートの新規建設は大幅に減少しています。また、アパートは建設されても小規模な物件が多く部屋数も少ない傾向にあります。
タイの家は広いイメージがあると思いますが、お部屋の面積は年々縮小傾向にあります。2000年頃のご家族用といえば200sqm程度のお部屋が主流でしたが、2010年代築のアパートは80 – 120sqm程度のお部屋が主流です。特にコンドミニアムの場合は分譲価格の高騰で広いお部屋は売れないため、2020年以降は1BRで35-45sqm、2BRで60-80sqm程度とコンパクトなお部屋が目立ちます。また、近年のコンドミニアムは物件に占める1BRの割合が多いのも特徴です。
1991-2000年 | 無駄に感じるほど広いお部屋が多く、メイド部屋がある物件が主流。 |
2001-2010年 | 贅沢に感じる広さのお部屋が多いが、メイド部屋がない物件も多くなる。 |
2011-2020年 | メイド部屋がない物件が殆どで、使いやすい広さの物件が多くなる。 |
2021-2023年 | 少し手狭に感じるお部屋が多くなり、広いと感じる物件は少なくなる。 |
タイの物件は日本のマンションと比べ、ベッドルームが無駄に広いこと、部屋数と同数のバスルームがあること、間取りの取り方が良くないことで、お部屋が狭く感じるお部屋ばかりです。また、お子様が自由に外出できないバンコクの場合、ご家族がお部屋に居る時間が長いため、お子様連れのご家族の場合、最低でも80sqm以上のお部屋でないと窮屈に感じてしまうと思います。
近年のアパートは縮小化に加え、3Bedroomの間取りを造らない物件が増えています。ここ10年(2013年〜2023年7月時点)で建設されたアパート41物件のうち、物件内に3Bedroomを全体戸数の10%以上確保している物件は青字の僅か14物件しかありません。また、築浅物件の3Bedroomはその希少性から賃貸価格も非常に高額な物件が多く、100,000THB/月以上の物件が殆どです。
近年のコンドミニアムは分譲価格の高騰の影響で広い3Bedroomが造られること自体が非常に稀です。また、 3Bedroomが造られるのは超高級コンドミニアムに限られますので、賃料が「1sqmあたり1,000THB/月以上」となり、築浅コンドミニアムの3Bedroomは安くて月々の賃貸価格が100,000THB以上になります。
コンドミニアムとサービスアパートは、年を追うごとに建設される物件数(戸数)が伸びていますが、アパートはそれと反比例するように2010年頃から建設される数が減少している状況です。2021年から建設される物件が減少しているのは2020年からのコロナ禍で工事が止まっていた影響もありますが、バンコク中心地の土地が限られていることも大きな要因です。アパートはもちろんですが、コンドミニアムも含めバンコク中心地では徐々に建設される物件数自体が減少傾向にあります。
新規建築数の少なさやお部屋の縮小化から、築20年程度のアパート(特に3Bedroom)は、お子様連れのご家族から高い需要を保ち続けています。2024年以降もバンコク中心地にご家族物件(アパート)や間取りが出来にくい状況が予想されることから、今後も人気アパートは賃貸価格が上昇していくものと思われます。
バンコク不動産歴11年の経験から、バンコクの不動産情報を中心にバンコク生活が豊かになる情報をお届けします!