バンコクの賃貸価格動向 2023年

2023.12.07

BANGKOK-TIMES

コロナウイルスによる入国規制の影響を大きく受けていたバンコクの賃貸市場ですが、本格的にコロナが明けた2023年は急回復をみせています。物件種別ごとに過去10年の賃貸価格推移をまとめましたので、是非ご確認されてください。

サービスアパート

2011 – 2023年の家賃推移

コロナの影響(2020 – 2022年)

2020年3月の厳格な入国規制以降、ホテル業は壊滅的な状況に陥り、ホテル型サービスアパートは長期滞在者をターゲットにするしかない状況でした。 そのため、ホテル型サービスアパートは大幅な値下げを行う物件が多くありました。その波及でアパート型サービスアパートも集客のために賃貸価格の値 下げを行う物件が多くなり、サービスアパートの賃貸価格は15~30%程度下落している物件が多い状況でした。

コロナからの回復(2023年 – )

入国規制が撤廃された2022年7月以降は、駐在員や出張者、観光客が増加したことから、バンコクのサービスアパートの賃貸価格は回復しはじめました。 2023年以降は本格的に観光客が戻ってきていることから、賃貸価格は急騰している状況です。また、コロナ前と比べ滞在期間が長く、高額な宿泊費をいと わない欧米人や中東、中国人の富裕層の割合が増えたことで、ホテルよりもお部屋が広くキッチンが完備されたサービスアパートの需要が急激に増してい ます。特に広い間取り(1Bedroom、2Bedroom)の需要が高く賃貸価格の上昇率も高くなっています。

アパート

2011 – 2023年の家賃推移(2Bedroom)

2011 – 2023年の家賃推移(3Bedroom)

コロナの影響(2020 – 2022年)

コロナで入国規制があった期間は一時的にお子様連れのご家族の駐在員が減ったこともあり全く影響がなかった訳ではありませんが、コロナ期間中でも日系企業の駐在員の減少が限定的だったこと、人気物件は空室が出ても引越し希望者が多かったことで、バンコ クの主要人気アパートは比較的高い需要を維持していました。そのためコロナ期間中でもサービスアパートのように大きく値崩れすることはありませんでした。

コロナからの回復(2023年 – )

2022年7月以降の入国規制緩和の影響でご家族でご赴任される駐在員が再び増加しはじめ、2023年はご家族でのご赴任が急増しておりアパートへ需要が高 まっていることから賃貸価格も上昇傾向にあります。また、日本人だけでなく、欧米人や韓国人のご家族連れも増加傾向にあります。2023年時点で、 主要人気アパートの空室率は5%を切っており満室の物件も数多くある状況です。そのことからも、今後もバンコクの主要人気アパートには高い需要が維 持され賃貸価格も上昇していくものと思われます。

コンドミニアム

2011 – 2023年の家賃推移(2Bedroom)

コロナの影響(2020 – 2022年)

コロナの影響を最も受けたのがコンドミニアムです。サービスアパート・アパートに空室が多く出たこと、賃貸価格が下がったことで、コンドミニアムから転居する方が多くみられました。また、管理体制に不安があるコンドミニアムは、コロナ禍に関係なく築年数が経つと劣化が激しく害虫問題のある物件が多いため賃貸価格が下がる傾向にあります。

コロナからの回復(2023年 – )

コロナ禍が明けた2023年も築年数が経過した(築10年以上たった)コンドミニアムは、集客に苦戦している物件が多くみられますが、近年では通勤でBTSやMRTを使う方が増え てきており、駅近で築浅の高級コンドミニアム(Diplomat39、The XXXIX、Esse36 など)は高い需要があり賃貸価格が上昇傾向にあります。 また、賃貸価格が100,000THBを超えるような超高級コンドミニアムは日本人駐在員が賃貸するのが難しい価格帯になりますが、タイ人富裕層、中国人富 裕層、欧米人から高い需要があることから、こちらも高い賃貸価格を維持しています。

更新時の家賃値上げ

更新時の値上げがあるのは主にサービスアパート

ホテルも運営している「ホテル型サービスアパート」の場合、ご退去から約1週間の清掃期間でそのお部屋をホテルとして利用できますので貸し出しできない期 間が短く、ホテルとして利用した方が収益率が高いため経済状況に応じて値上げが起こります。 それに対しホテル運営を行わない物件(アパート型サービスアパート、アパート、コンドミニアム)は、1年契約しか受け付けないため退去後のお部屋の改装期 間や次の入居者を待つ期間で最低でも2ヶ月間は貸出しができず家賃収入を得ることができません。また、新規契約時には不動産仲介業者に家賃1ヶ月分の手数 料を支払う必要があるため、家賃値上げによるメリットよりも家賃値上げで退去されるデメリットのほうが遥かに大きくなります。

(コロナ期間中に入居者が付かず大幅に値下げしていたコンドミニアムでも、更新時に値上げするオーナー様が多くみらるようになっています)

2022年10月以降は更新時の値上げが激しい

コロナ前の2019年までは契約更新時に5%以上の値上げを行うサービスアパートは稀でしたが、2022年10月以降は契約更新時に10~30%以上の値上げを通知してくるサービスアパートも少なくありません。特にコロナ禍でオープンしたサービスアパートやコロナ禍で大幅な値下げプロモーションを行った サービスアパートは過去に例がないほどの値上げ幅で、50%以上の値上げを行うサービスアパートもありました。

2024年以降も更新時の値上げは継続?

ホテル型サービスアパートの賃貸価格は今後も引き続き上昇することが予想されますので、それに伴い契約更新時の値上げがなくなることはありませんが 、2023年中にコロナ禍に行なわれたプロモーション(大幅な値下げ)でご入居されたお客様の契約更新が完了するため、今後は更新時の値上げ幅が従来通り(高くても5~10%程度)に落ち着いてくると思われます。

まとめ(2024年以降の家賃動向)

2022年はタイランドパスなどの入国規制が大幅に緩和された2022年5月からバンコクのホテル・サービスアパートの需 要が高まり、10月には全ての入国規制が撤廃されたことで、ホテル・サービスアパートの賃貸価格が急激に高騰しまし た。ホテル型サービスアパートの賃貸価格の上昇は、その他の物件へ波及し2023年5月現在、バンコクのサービスア パート、アパートの賃貸価格はすでにコロナ前の2019年よりも上昇している物件が殆どです。
また、ご家族用のアパートは需要に対して新規供給が増えない状況から、築浅や好立地の人気アパートは高い需要を保ちサービスアパートほどの右肩上がりまでではありませんが賃貸価格が上昇傾向にあります。
前述の通りコンドミニアムは住むハードルが高いため日本人駐在員には避けられる傾向にありますが、好立地にあり豪華な造りになっている高級コンドミニアムは、問題対応に慣れた欧米人やタイ人富裕層に人気があります。広さのある高級コンドミニアムの新規供給がアパート同様に減少していることから、築浅の高級コンドミニアムも高い需要があります。
東南アジアの中心地として経済成長を続けるタイは、邦人数及び日系企業数が高い水準で推移していくこと、日系、欧米企業以外の韓国、中国企業の進出が盛んなことに加え、今後も外国人観光客数の大幅な増加が見込まれることから、バンコクの不動産賃貸価格は更に上昇していくことが予想されます。

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バンコク不動産歴11年の経験から、バンコクの不動産情報を中心にバンコク生活が豊かになる情報をお届けします!

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