タイお寺巡り【ワット・パクナム】

2020.10.09

JIROKO

【この記事はタイローカルに詳しい不動産屋さんの『JIROKO』が書いています】

以前は名前が挙がることもありませんでしたが、SNSがキッカケで数年前から脚光を浴び始めた寺院です。
この寺院の最大の見所はインスタ映え間違いなしのエメラルドに発色した美しい天井画と仏舎利塔でしょう。
バンコク郊外にあるにも関わらず、毎日多くの日本人が訪れるワット・パクナムの魅力を余すところなくお伝えします。

ワット・パクナムとは

ワット・パクナムの正式名称は、ワット・パクナム・パーシーチャルーンという名前になります。
寺院の名前の由来はパーシーチャルーン区の河口(=パクナムの意)にある寺院という意味から来ています。
ラーマ5世の治世で運河にパーシーチャルーンの水門が造られて、そのような名称で呼ばれるようになりました。

日本人の中では最近有名になったばかりの寺院ですが、本堂はアユタヤ時代に建立されていて長い歴史を持っています。
ラーマ3世の治世には王室寺院に指定されました。

ワット・パクナムが特に有名なのは、1916〜1959年に住職を務めたルアンポーソッド師がタンマガーイ瞑想法を生み出したことでしょう。
また、ワット・パクナムには白い衣装のメーチーという尼さんが多くいることも非常に特徴的です。
タイの多くのお寺は尼さんを受け入れておらず、ワット・パクナムは尼さんを受け入れる大規模な寺院でもあります。

ルアンポーソッド師はタイ人にとっては大変高名なお坊さんで、タイ人に非常に人気があります。
オフィスのタイ人の机の上にルアンポーソッド師の写真が飾られていることもあるので、日本人も見かけたことのある顔かもしれません。

本堂こそ歴史のある古い寺院ですが、日本人に話題の大仏塔は2012年に完成したばかりです。
そして、2020年10月現在、大仏塔の前に巨大な大仏を絶賛建築中です。

ワット・パクナムはタイだけに留まらず、千葉県の成田市にはワット・パクナムの日本別院があります。
彩色の多いタイの建築様式で、日本に居住しているタイ人のための寺院になっているようです。

パトゥンタニ県にはルアンポーソッド師の弟子のメーチーであるクンヤーイ・ジャン師が開いたタンマガーイ式の瞑想を行うワット・タンマガーイがありますが、現在は趣旨の異なる寺院になっているようです。
ワット・タンマガーイは高所得者の信者が多く、お布施をすればするほど徳を詰むことができるといったことから、タイ人の中には良い感情を持っていない人も・・・。
現在のワット・パクナムとの関係性として、ワット・タンマガーイがワット・パクナムのイベントを手伝うことはあるようですが、ワット・パクナムがワット・タンマガーイを手伝うことは無いようです。

入場料

外国人もタイ人も入場料は無料です。

撮影不可の場所はありません。

営業時間

午前8時〜18時まで拝観できます。

大仏塔5階の天井画と仏舎利塔がメインなのであれば、15分ほどの所要時間で回れます。
大仏塔内部や本堂をじっくり回りたい場合は1時間ほどを見ておきましょう。

大仏塔も本堂もエアコンのある場所はありません。

お寺の回り方

特別な順路はなく、回り方に指定はありません。
寺院内に一方通行はなく、自由に見て回ることが可能です。

大仏塔の外観

ワット・パクナムの入り口から右奥のほうに進むと、大仏塔にたどり着けます。

大仏塔は2004年に施工を開始して、2012年に完成となりました。
プミポン元国王陛下とシリキッド王太后の72歳の誕生日のお祝いとして、現住職のソムデット・プラマハー・ラッチャマンカラーチャーン師が建築した仏塔です。

高さ80m、幅52mの大きな仏塔の最上部には100キロの金で造られた宝珠が輝いています。
バンコク美術様式とランナー美術様式を組み合わせた仏塔で、5階建ての建物です。

エレベーターが設置されていますが、利用できるのは土日のみとなっています。

階段で移動をする場合、1階は独立していて、2階から5階が階段で繋がっています。
5階の天井画と仏舎利塔を見る場合には大仏塔前の外階段を昇って2階から大仏塔の中に入り、内部の階段から5階まで上がるようにしましょう。

大仏塔の5階(天井画と仏舎利塔)

 仏舎利塔

大仏塔のメインはこの5階にある天井画と仏舎利塔で、ここで写真を撮影しなければ何をしに来たのかわかりません。
繊細な細工が施された金色の4本の柱に囲まれた仏舎利塔はエメラルド色に淡く発色しています。

実際に見るとそれほど綺麗に発色していないなと思われるかもしれませんが、写真を撮影するとすごく綺麗に発色します。

ガラス製の龍が土台になっていて、その上に同じくガラス製で出来た仏舎利塔がそびえ立っています。
仏舎利塔の上には天井画がドーム状に拡がっていて、全体で宇宙を表現しています。
中央のエメラルドの仏塔は、高さ8m、幅7mあり、 1cmの厚さのガラスを800枚積み上げて造られています。

とても綺麗な写真が撮影出来るのではしゃぐ気持ちもわからないでもないですが、ここはタイ人にとって神聖な場所です。
残念ながら日本人の中にはマナーが悪い人もいるようです。ジャンプをしたり、大声を出したり、奇抜なポーズをしたり、寝転んだりしないでください。
5階には監視員もいますので、注意をされることのないように楽しみましょう。

 仏舎利塔の天井画

天井画には過去の28の時代に現れたブッダと菩提樹が描かれていて、ひとつひとつのブッダに名称とバックグラウンドが存在しています。

 仏舎利塔の龍神

仏塔の足下にはガラス製の80頭のパヤーナーク(龍神)がぐるりと取り囲んでいます。
80という数字にこだわるのは、お釈迦様がなくなった年齢だからです。

 4本の柱

金色の繊細な意匠が施された柱もこの幻想的な空間を編み出すのに一役買っています。
この柱は触ってはいけないので、手を触れないようにしましょう。

 テラスからの景色

5階のエレベーターの近くからはテラスに出ることが出来ます。
テラスからは建築中の巨大仏像やすぐ近くのワット・クンチャンの仏像の後ろ姿が見えます。

大仏塔の4階

ルアンポーソッド師の金製の像があるフロアです。
タイ人はこのフロアでタンブンをしています。

大仏塔の3階

ルアンポーソッド師の所有物が展示されている博物館のフロアです。
袈裟や時計、食器、杖、仏像などが陳列されています。
曜日ごとの仏像も並んでいるので、自分の誕生日の曜日の仏像の前で参拝をするのも良いでしょう。

大仏塔の2階

イベントやセミナーで瞑想が行われる大ホールです。

大仏塔の1階

信者から寄付されたタイの文化的な遺産が所狭しと並べられている博物館のフロアです。
お札や硬貨、托鉢の鉢、舟、クラシックカー、仏像、食器、石臼、馬車、馬や水牛の模型、置き時計、貝殻、亀の甲羅などなど本当にたくさんの物が展示されています。
あちこちに置き時計が置かれていて、フロアに響くカチカチという時計の音が印象的です。

本堂

 本堂の外観

本堂は3回修復されていて、ラーマ1世、ラーマ3世、ラーマ5世の時代にそれぞれ修復が施されました。
日本人にとってのワット・パクナムは大仏塔が有名ですが、タイ人にとってのワット・パクナムはルアンポーソッド師が有名であり、本堂でのタンブンがメインになります。
メーチー(白い服の尼さん)を受け入れるお寺だけあって、私が訪れた日も本堂内の広場では尼さんがたくさん集まって瞑想をしていました。

 本堂の廊下

長い廊下の奥まで進むとタンブンをする場所にたどり着きます。
タンブンをする場所の右手には階段があって、そこから本堂の2階に上がることが出来ます。

 本堂1階

金色のルアンポーソッド師の像と象の形をした像があって、タイ人はここでタンブンをします。
タンブンのセットは横で販売されているので、購入してタイ人の動きと同じようにタンブンをしてみるのも良いでしょう。

 本堂2階

本堂2階には1959年に崩御したルアンポーソッド師の火葬されていない遺体が安置されています。
ここにはルアンポーソッド師のお参りと瞑想をするためのタイ人がひっきりなしに訪れます。

建築中の巨大仏像

タイ国内で3番目に高い予定となる仏像を建築中です。
その高さは69mで、2020年完成予定でしたがコロナウイルスの影響で建築が遅れているようです。
残りは塗装のみのようですが、中国から送られてくる予定の塗料が届かないそうで、完成は来年中に延長されています。

アクセス

バンコク郊外にあるので昔はアクセスが大変でしたが、BTSや地下鉄(MRT)が延伸したおかげで随分と行きやすくなりました。

 BTSでアクセスする場合

BTSウタカート駅、あるいは、BTSタラートプル駅までBTSで移動します。

BTSウタカート駅で下車した場合はそこからタクシーやバイクタクシーで向かいましょう。
バイクタクシーは30バーツ、タクシーは渋滞状況にもよりますが40バーツほどが運賃の目安になります。
気合いを入れれば徒歩も可能ですが、20分とかなりの時間がかかるのでオススメ出来ません。

BTSタラートプル駅で下車した場合は駅発の赤いソンテウに乗って向かいましょう。
行き先の違うソンテウもあるので、乗る前には必ずワット・パクナムに向かうかを確認してください。運賃は8バーツです。
スムーズに行けば10分弱で到着しますが、渋滞によってはエアコンの無い暑い環境下で長く乗車をしなければいけない可能性もあります。

 地下鉄(MRT)でアクセスする場合

バーンパイ駅で下車をして、そこからタクシーやバイクタクシーで向かいましょう。
徒歩でも行くことは出来ますが、10分強かかるので炎天下の中で歩くことは結構キツイと思います。

JIROKO

バンコクの不動産賃貸を取り扱う『alphabet home』のアフターケア担当。JICAボランティアを皮切りに、タイ生活は14年目に突入。バンコクの生活で困ったことや役に立つ情報、面白いことをご紹介していきます。

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