2020.12.15
【この記事はタイローカルに詳しい不動産屋さんの『JIROKO』が書いています】
タイお寺巡りの第3弾はワット・アルンをご紹介します。
チャオプラヤ川の対岸から眺めるワット・アルンも良し、近くから見上げるワット・アルンも良し、ライトアップされたワット・アルンもこれまた良いものです。
何気なく眺めるワット・アルンも素敵ですが、その背景を知ってから見つめるワット・アルンはもっと魅力的かもしれません。
『ワット・アルン』の正式な名称は『ワット・アルンラーチャワラーラーム』で、第1級王室寺院です。
アルンはタイ語で『暁(あかつき)』を意味します。三島由紀夫の作品『豊饒の海』の第3部『暁の寺』の舞台になった寺院でもあります。
本堂はアユタヤ王朝時代から存在していたとされていて、当時は『ワット・マコーク』という小さな寺院でした。
トンブリー王朝時代の1779年にタクシン王によってヴィエンチャンから略奪したエメラルド仏が祀られて『ワット・ジェーン(夜明けの意)』へと改名されました。
1782年にラーマ1世がチャクリー王朝を建国して、ワット・プラケオにエメラルド仏が移されることになりました。
その後、ラーマ2世が『ワット・アルン・ラーチャターラム』に改名して、更にラーマ4世が現在の名称へと改名した歴史があります。
ワット・アルンの仏塔は10バーツ硬貨の裏側に描かれているので、タイに住む人にとっては馴染み深いシンボルでもあります。
ワットアルンの公式ホームページはhttps://www.watarun1.com/enです。
ワット・アルンの外国人の入場料は100バーツです。タイ人は無料です。
2020年6月1日から値上げとなりました。
撮影不可の場所はありません。
午前8時〜18時30分まで拝観できます。
所要時間ですが、ざっくり見る程度であれば15分ほどでまわることが出来ます。
メインの仏塔のみを見るのであれば、10分もかからないでしょう。
以前はワット・アルンの仏塔の上まで登ることが出来ましたが、現在は途中までしか登れなくなってしまいました。
じっくりと見てまわりたい方でも30分程度で十分かもしれません。
特別な順路はなく、回り方に指定はありません。
寺院内に一方通行はなく、自由に見て回ることが可能です。
先に本堂を見ても良いですし、仏塔を見に行ってもどちらでも大丈夫です。
ワット・アルンの最大の目玉は空に向かってそびえ立つ大きな仏塔です。
巨大な仏塔は高さ約81.85mを有していると言われていますが、高さについては諸説あるようです。
4階建ての構成になっていて、234㎡ある土台の1階には4つの小さな仏塔がそびえ立っています。
大きい仏塔の初期サイズはたったの16mでしたが、ラーマ2世が壊し、その跡地にラーマ3世が新しい仏塔を造って、ラーマ5世が更に改装をしました。
ヒンドゥー教のシヴァ神が住んでいる聖地であるカイラーサ山をイメージして造られたと言われています。
仏塔の遥か上にはインドラ神とインドラ神を乗せた3つの頭を持つ象が見えるでしょう。
周辺の4つの仏塔は大きい仏塔のミニチュアで、ラーマ3世によって造られました。
小さな仏塔の上には馬に跨ったヴァーユ神が見えます。
以前も白地にカラフルな色合いではありましたが、仏塔全体はかなりくすんだ色をしていました。
2013年から2017年にかけて大規模なリノベーションが行われて、白色と各色味が綺麗に発色して明るくクリーンなイメージに生まれ変わりました。
その明るさはホワイト過ぎると言われたほどで、以前のくすんだ仏塔のほうが趣があったと言う人もいるようです。
綺麗に色付けが施されたタイルが花や模様を象っています。
仏塔にはラーマキエン物語に登場する鬼やガルーダ、ハヌマーンなどが登場して、ひとつひとつ表情が違うのも見所ポイントです。
非常に残念なことに以前は最上階まで登れた仏塔は、リノベーション後は2階までしか登れなくなってしまいました。
登れなくなってしまった理由は『危ないから』だそうです。
確かに階段は急勾配でロクな手すりもなく、大変危険な構造ではありました。
高所恐怖症の私でもワット・アルンの最上階から眺める景色は壮観で、とても残念であることには変わりありません。
渡し船の船着場の近くに本堂の入り口があります。本堂は入場料の発生はなく、無料で入ることが出来ます。
本堂を囲む門には大きな2体のヤック(鬼神)が門を守るように鎮座しています。
緑色の鬼は『ラヴァナ』、白色の鬼は『サハサデジャ』という名前があります。
門の屋根はランナー様式の建築です。
ヤック2体が並ぶ門を通り過ぎると本堂が正面に大きく現れます。
本堂はラーマ2世が建立しましたが、ラーマ5世の治世で起きた火事でかなり広範囲に焼失して、ラーマ5世が改修しています。
本尊のご尊顔はラーマ2世が設計したと言われています。実際にご尊顔を彫ったのは職人さんのようです。
本尊の下にはラーマ2世の遺灰が安置されています。遺骨は王宮に安置されています。
そして、周囲の壁画には仏陀の一生が描かれています。
左側にいるお坊さんの前に座って参拝をすると、お清めの水をかけてもらえます(お坊さんは居ないこともあります)。
たまにお清めの水の量が多い場合もありますが、貴重なタイのお清め体験をしてみたい人は是非どうぞ。
タイは暑い国なので、多少衣服が濡れてしまってもすぐに乾きます。
本堂の周囲は壁で覆われていて、壁の中の外側を金色の仏像、内側を中国風の像で囲まれています。
外側の金色の仏像は全部で120体で、ラーマ2世によって回廊状に並べられました。
内側の銅像は石製のもので、『バラスト(=乗り物のバランスを取るために積み込む重しの意)人形』と呼ばれています。
ラーマ3世の治世以降、タイは中国と貿易をしていました。
中国に船でタイの貨物を運ぶのですが、帰りは船の中が空っぽになって船体が不安定になるため、船底には石が積まれていました。
その石がバラスト人形になり、全部で144体が設置されています。
仏塔の正面にタクシン王の像が安置されている小さな御堂があります。
中国人とタイ人の両親の間に生まれたタクシン王はトンブリー王朝の一代限りの王様で、ビルマにアユタヤ王朝が滅ぼされたときに将軍としてビルマ軍を撃退した救国の英雄です。
徐々に精神が錯乱したタクシン王は、当時の将軍であったチャオプラヤー・マハーカサット・スック(ラーマ1世)に処刑される最期を迎えました。
ワット・アルンの敷地内にはカフェのような座って飲み物や軽食を楽しめるスペースと、屋台が並んでいるスペースがあります。
屋台の中には貸衣装屋さんもあって、200バーツでタイの伝統衣装を借りて撮影をすることが出来ます。
川沿いにはベンチがあって、ささやかな風に吹かれながらワット・アルンを眺めつつノンビリするのもオツです。
ワット・アルンの醍醐味と言えば、対岸からの景色もその一つでしょう。
チャオプラヤ川越しに眺めるワット・アルンは他にはない格別なる景色を楽しめます。
対岸にはローカルのタイレストランやホテルに入っている高級レストランがあるので、ワット・アルンを見ながら食事や、酒の肴にするのもオススメです。
絶対にワット・アルンを眺めながら食事をしたい人は事前にレストランの予約をするようにしましょう。
ワット・ポーの近くにターティアン船着場があるので、連続してワット・アルンの観光をすることが出来ます。
ターティアン船着場からワット・アルン船着場へ渡し船が出ているので、渡し船に乗船すると対岸のワット・アルンの本堂近くの船着場に到着します。
この渡し船はターティアン船着場とワット・アルン船着場を往復しているだけなので、待ち時間が少なくて大変便利です。
渡し船の料金は片道4バーツです。
BTSのサパーンタクシン駅で降りて、サトーン船着場から船で向かうことが出来ます。
ワット・アルンの船着場に行く船は旗無しのボート、オレンジ色の旗のボート、青色の旗のボート(ツーリストボート)の3つだけです。
全ての船がワット・アルンに行ける訳ではありません。
他に赤や黄色、緑色の旗の船も来るので、間違って乗船しないように気をつけましょう。
青色の旗のボートはツーリストボートで、他のボートよりも高めの値段設定ですが、立ち寄る船着場は少なめです。
2020年12月現在、旗無しのボートは運休中、オレンジ色の旗のボートは15バーツ、ツーリストボートは60バーツの運賃です。
チャオプラヤエクスプレスボートの公式サイトはhttps://www.chaophrayaexpressboat.com/chaophrayaexpressboat?lang=enです。
チャオプラヤツーリストボートの公式サイトはhttps://chaophrayatouristboat.com/tourist_boat.htmlです。
MRT(地下鉄)が延伸したことで、ワット・アルンにも駅から徒歩で行けるルートが誕生しました。
MRTのイサラパープ駅から徒歩12分で到着することが可能です。
歩くのは大変という方はイサラパープ駅からタクシーに乗って向かうことも出来ます。
バンコク都心からチャオプラヤ川を超えた場所にあるので、船でなければ行けないイメージを持つ方もいるようですが、何箇所も橋がかかっているので車で向かうことが可能です。
迷いたくない方はタクシーで向かわれるのが一番確実ですが、平日の朝や夕方は渋滞している可能性が高いのでその点は注意してください。
バンコクの不動産賃貸を取り扱う『alphabet home』のアフターケア担当。JICAボランティアを皮切りに、タイ生活は14年目に突入。バンコクの生活で困ったことや役に立つ情報、面白いことをご紹介していきます。