タイのマナーとタブーを知る

2019.09.11

JIROKO

【この記事はタイローカルに詳しい不動産屋さんの『JIROKO』が書いています】

異国の地であるタイには日本とは異なるマナーとタブーが存在しています。
日本では何の問題もない行為であったとしても、タイではとんでもなく恥ずかしい行為や無礼な行為になったりすることがあります。
中には法律に抵触するものもありますので、知らなかったでは済まされない場合もあるのです。
タイで生活や旅行をする場合には、独自のマナーとタブーをしっかりと学習してトラブルを回避しましょう。

王室のマナー

 王室への不敬は絶対にタブー

タイは王室への悪口や批判は法に触れる絶対的なタブーです。
刑法112条によって不敬罪が定められていますので、外国人であろうとも王室への不敬は禁固刑の対象になります。

最近はSNSが盛んですが、安易に王室のことを書いてはいけません。
SNSをチェックした誰かが通報し、実際に逮捕されたタイ人が何人もいます。

王族の肖像画や王族に関係している物品を乱暴に扱うことも許されませんので、注意してください。
もちろん王族が描かれている紙幣を無下に扱うことも不敬罪になります。
お金を地面に投げ捨てるような行為や破り捨てるような行為はくれぐれもしないようにしてください。

 朝8時と夕方18時の国家が流れているときは直立不動

BTSや公園等の公共の場では1日2回の朝8時と夕方18時に国歌が流れます。
国歌が流れている間は直立不動の姿勢を取り、国家や王室への敬意を表すことが定められています。
外国人は逮捕されることはないかもしれませんが、直立不動を取らないタイ人は逮捕されることがあるようです。

 映画館で国王賛歌が流れているときは直立不動

映画館で上映が始まる直前に国王賛歌が流れます。
周りのタイ人に倣って国王賛歌が流れている間は直立不動の姿勢を取りましょう。
外国人が咎められることはないと思いますが、タイ人は逮捕や罰金に処されることがあります。

僧侶のマナー

 仏教に敬意を払いましょう

タイ人の95%は仏教を信仰していて、とても大切で神聖なものとして認識しています。
自分が宗教に関心を持っていなかったとしても、仏教の信仰を悪いものとして扱ってはいけません。
間違いなくタイ人に軽蔑されるでしょう。

 女性は僧侶に近づいてはいけません

タイのお坊さんに女性が触れることは戒律で厳しく禁じられています。
女性と接触してしまったお坊さんは全ての徳を失うことになり、それまでに積んで来た修行がリセットされてしまうのです。

タイのお坊さんはオレンジ色の布を巻きつけた服装をしていてとても目立ちます。
お坊さんを発見したら、女性は接触しないように距離を取りましょう。

BTS(電車)やMRT(地下鉄)ではお坊さんの隣の席に女性が座るのもNGです。
ちなみに、男性を挟んだ隣の隣に女性が座っているのはOKです。
お坊さん専用席がありますので、その隣に座っているときは周囲の動向を気にかけるようにしましょう。

参拝のマナー

 露出の多い格好で参拝はできません

参拝のときにはタンクトップやキャミソール、ミニスカート、ショートパンツ、ダメージジーンズ等の肌の露出の多い服は着てはいけません。
また、ビーチサンダルやヒールの高い靴、サングラス、帽子もNGです。
そのような格好で寺院を訪れた場合は、入れてもらえない可能性があります。
大きな寺院では露出を隠すためのスカーフを貸し出しているところもあります(保証金を支払う必要あり)。
異国での参拝には異国のルールがありますので、日本人として恥ずかしくないように服装を整えて挑みましょう。

 女性は仏像に触れてはいけません

タイでは女性は仏像に触れてはいけないので、決して触らないようにしてください。
ただし、仏像に金箔を貼ることは女性にも許されていますので、金箔を貼る場面では触っても大丈夫です。

 本堂では靴を脱ぎましょう

タイのお寺の本堂では靴を脱ぐのがルールです。
多くのお寺では「靴を脱いでください」という英語の案内板が置かれていますので、それを見て判断するようにしましょう。
たまに案内板がないときもありますが、周りのタイ人に倣って靴を脱ぐか脱がないかを判断してください。

 仏像よりも高い位置に立ってはいけません

仏像よりも高い位置に立つことは禁じられています。
特に注意が必要なのは有名なアユタヤのワット・マハータートの仏頭です。
木の根元にある仏頭は低い位置にあるので、写真撮影のときはしゃがんで、仏頭よりも自分が上に来ないよう高さを調整しながら撮影してください。

基本のマナー

 頭を撫でてはいけません

一番上にある頭は精霊が宿るとされており、身体の中で最も神聖な場所です。
タイでは無闇矢鱈に子供の頭を撫でてはいけませんが、親しい間柄であれば許されるようです。
親しい間柄ではない場合、タイ人の子供の頭を撫でるのは大変無礼な行為になりますので気をつけましょう。

 人に足を向けてはいけません

身体の一番下にある足は、タイで不浄な場所として扱われています。
足を机に乗せる行為や人に足の裏を向ける行為は大変失礼な行為になります。
人をまたぐのもNGなので、電車や地下鉄で混雑しているときは座っている人の足をまたぐことのないように気をつけましょう。

 人前で大声を出したり怒ってはいけません

タイでは人前で怒られること=プライドを著しく傷つけられる行為になります。
日本の会社では部下を叱りつけることが当たり前であっても、タイの会社で同じことをするとすぐに辞めてしまうでしょう。
そんな人材は要らないとクビを切ることは簡単ですが、上司としての指導の仕方を変えなければ、タイ人が定着することはありません。
至らない点の指導はこっそりとマンツーマンでしてあげるのがタイ人の尊厳を傷つけないポイントです。

また、人前で大声を出すことも下品で侮蔑される行為のひとつです。
大声を出しているだけでタイ人からの評価が下がるものと思ったほうが良いです。
タイ人から尊敬の念を持って欲しければ、どんなことがあったとしても大声を出すことはやめましょう。

 左手での握手や物の譲渡は問題ありません

以前は左手は身体の中で不浄の場所とされ、左手での握手や物の譲渡は失礼な行為とされて来ました。
最近は左利きが周知されたことで、以前よりも左手を使うことが許されるようになっています。
ただし、タイの田舎やかなりのご高齢の方々と接するときは左手を嫌がる人もいるかもしれないので気をつけましょう。

 上の立場の人間がお金を払うのが当たり前??

食事会などでは上の立場の人間がお金を払うのは当たり前です。
日常的なランチの場ではお金を払うことは不要ですが、日本人とタイ人が一緒に食事をする場面で給料格差が明らかなときは日本人が積極的に払うようにしましょう。

食事のマナー

 カトラリーはスプーンとフォーク、たまに箸

タイ料理は右手にスプーン、左手にフォークで食べるのが一般的です。
左手のフォークで右手のスプーンに食べ物を入れて、右手のスプーンを口に運ぶ感じです。
なお、右手のスプーンはナイフのような役割もあり、大きな塊はフォークで食べ物を固定してスプーンで切り分けることになります。
フォークはスプーンのお手伝いをする役割にあり、くれぐれも食べ物を刺して口に運んではいけません。
麺料理では箸が出てくることもありますが、右手に箸、左手にスプーンというスタイルになります。

 食器を持ち上げてはいけません

タイでは食器を持ち上げることはマナー違反です。
日本ではお茶碗を持つのが当たり前ですし、味噌汁のお椀を持つことも当然の行為ですが、タイではどちらもNGです。
スプーンや箸を使って口まで運ぶようにしましょう。

 麺類をすすってはいけません

有名料理クイッティオをすすっている日本人をたまに見かけますが、タイでは下品な行為として認識されています。
日本人の概念で言うと、麺類を手づかみで食べてるような感覚でしょうか。。。
右手の箸で左手のスプーンに麺を入れて、スプーンを口に運びパクリと食べるのが正しい作法です。
ラーメンのような日本食はまだしも、タイの麺料理で音をズルズルと立てることは恥ずかしい行為です。

 食器に口をつけてはいけません

タイでは食器を持ち上げることがマナー違反ですが、食器に口をつける行為もNGです。
日本食レストランの味噌汁はOKかもしれませんが、タイ料理屋さんでトムヤムクンや豆腐のスープに口をつけて飲むことは控えてください。
チマチマと口元に運ぶ行為は面倒かもしれませんが、タイのマナーだと思って従いましょう。

 肉や魚にかじりついてはいけません

大きな肉の塊や魚にかじりつくことは、タイでは美しい食べ方とされていません。
私も常々疑問ではありますが、KFCの小さい骨つきチキンであってもスプーンとフォークを使って分解して食べるのが優雅とされています。
効率を考えるとかじりつくのがベストだと思いますが、ここはタイなのでタイで恥ずかしくない食べ方をするようにしましょう。

 カオニャオ(もち米)はフォークを使ってもOK

カオニャオ(もち米)の正しい食べ方として、手でカオニャオを掴み、それを丸めて食べるという方法が伝統的でした。
しかし、最近のバンコクではタイ人も手づかみで食べる人が減って来ています。
スプーンとフォークで優雅に食べている様子が当たり前になりつつあるのかもしれません。
ちなみに、タイの田舎で日本人がカオニャオを手で丸めるのを披露すると、タイ人の心を掴んで距離感を縮めることができますのでオススメです。

 「いただきます」の挨拶はない

タイでは「いただきます」の挨拶はありません。
料理が揃っていれば席についた順に飲食を始め、料理が来ていなければ料理の来た順に食べ始めるのが一般的です。
最近のバンコクでは食事会で全員分が揃うまで待つことが当たり前になりつつありますが、タイ人がいきなり食べ始めてもそういう風習なので驚かないでください。

挨拶のマナー

 ワイをされたら、ワイで返しましょう

ワイとはタイ語で「合掌」の意味を持ちます。
日本では頭を下げるおじぎが挨拶ですが、タイでは手と手を合わせるワイが挨拶になります。
ついつい頭を下げたくなりますが、ここではワイで挨拶をするようにしましょう。

基本的にワイをされた場合、ワイで返すことがルールです。
ただし、ご高齢の方やお偉い方々はワイを返さないことがあります。
また、レストランや店舗の店員のワイは返す必要がありません。

ワイは必ず年下や身分の低い者からする決まりになっています。

挨拶=ワイと説明をしましたが、いつでもどこでも挨拶をするときにワイをする訳ではありません。
親しい者同士はワイなんてしませんし、会う人会う人にワイをする必要もありません。
どちらかと言うと、ワイは丁寧な挨拶の手段になります。
ワイの代わりにタイ人は「サバーイディーマイ(元気?)」「ギンカーオルーヤン(ご飯食べた?)」「パイナイ(どこ行くの?)」という軽い言葉をかけることが多いです。

 ワイにも種類があることを知りましょう

ワイには全部で3種類あります。

①最上級の礼節を伴うワイ
合掌した親指を眉間につけてワイをします。仏様やお坊さんに対して行われるワイです。

②目上の人へのワイ
合掌した親指を鼻につけてワイをします。

③同格、目下の人へのワイ
これが一番馴染みのあるワイだと思います。胸の前で合掌をするワイのスタイルです。

JIROKO

バンコクの不動産賃貸を取り扱う『alphabet home』のアフターケア担当。JICAボランティアを皮切りに、タイ生活は14年目に突入。バンコクの生活で困ったことや役に立つ情報、面白いことをご紹介していきます。

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