日本人のタイ語が通じない理由5つ

2019.06.30

JIROKO

【この記事はタイローカルに詳しい不動産屋さんの『JIROKO』が書いています】

一生懸命タイ語を話しているのに全く伝わらない経験をしたことは誰しもあると思います。
普段はある程度の日常会話をこなせる方も使い慣れない単語を使った瞬間に通じないこともしばしば・・・。
なぜ日本人のタイ語が通じないのか5つの理由を挙げてみました。

5つの声調の存在

タイ語を初めて聞いた時に歌のような言語だと思いましたが、タイ語は発音が上がったり下がったりと忙しい言語です。
この発音の上がり下がりを声調と呼びます。

声調自体は日本語にもあります。
「橋」と「箸」は同じ読み方なのに発音の仕方が違っています。
これが声調の違いです。

タイ語の声調は日本語とは異なっていて、『先頭に来る子音の種類+母音の音の長さ+末子音の有無+発音記号』によって定められています。
全部で5つの声調がありますが、上の組み合わせ次第でどの声調かが決まります。

タイ文字とそれに付随するルールを知っていれば、声調が自ずとわかるようになります。
しかし、タイ文字とタイ語のルールの暗記はかなり大変なので、無理をして覚える必要はないと思います。
その理由ですが、タイ語の英語表記からもどの声調になるかを確認することが出来るからです。

ちなみに、タイ語はベースの音から上がったり下がったりする言語なので、下がることを考慮して元のベースの声が少し高めになります。
この発音の上がり下がりは個人差があって、上がり下がりの少ない人もいます。

有気音と無気音を気にしていない

タイ語が伝わらない要因となっている日本人が気がつかない一番のポイントかもしれません。

タイ語の子音には有気音と無気音の2種類に分かれているものがあります。
有気音は息を吐きながら発音する子音で、無気音は息を吐かずに発音する子音です。

有気音と無気音の発音を間違えてしまうことで、タイ人に伝わっていないことが意外と多いのです。
タイ語を伝えるには上がったり下がったりの発音も大切ですが、この息を吐いてるか吐いていないかの違いがとても重要だったりします。

タイ人はそんなところを明確に聞き取っているのかと思われるかもしれませんが、彼らはきちんと聞き分けています。
日本人は無気音が苦手な傾向にあるので、息を吐かない単語ではきっちりと息を吐かずに発音をする注意が必要です。

息を吐いて発音してはいけない単語で息を吐くと、全然違う単語になってしまうこともあります。
「เผ็ด 辛い」と「เป็ด あひる」は「ペッ」という日本語表記ですが、タイ語では「เผ็ด 辛い」は有気音で、「เป็ด あひる」は無気音です。

実は日本語にも有気音と無気音があり、濁音が無気音になっています。
無意識に有気音と無気音を使い分けていますので、意識をしながら濁音を発してみるとわかりやすいと思います。

タイ語は有気音の子音と無気音の子音が予め決まっています。
子音の種類をきちんと理解していれば、タイ文字を見るだけで有気音か無気音かがわかるのです。
そして、タイ文字がわからずともタイ文字の英語表記から有気音か無気音かを理解することができます。

無気音の子音は全部で6つあり、「k」「p」「c」「t」「d」「b」になります。
有気音の子音は「kh」「ph」「ch」「th」という表記になり、子音の後ろに「h」がつくので英語表記を見ただけでその区別が可能です。
先ほどの「เผ็ด 辛い」の英語表記は「phed」で有気音、「เป็ด あひる」の英語表記は「ped」で無気音とわかります。

その他の子音は基本的に有気音になり、息を吐き出して発音をすることになります。

末子音の発音を知らない

タイ語の子音は単語の先頭につくだけでなく、単語の最後にくっつくこともできます。
単語の最後にくっつく子音は末子音と呼ばれています。

この末子音があることで、単語によっては語尾が音として明確に発音されない場合が出て来ます。

日本語には末子音がありません。
必ず子音+母音で完結する日本語が基本の日本人にとって、末子音は理解しがたく発音しにくいものです。

末子音は特定の口の形で言葉を止め、余韻で発音をするものです。
この末子音の口の形を間違えたり、日本語のようにはっきりと末子音を発音してしまうと、タイ人には伝わりません。

タイ語を習いたてのころ、末子音が聞き取れないと私のタイ語の先生に尋ねたところ、後ろ向きで末子音を聞き取る練習をさせられました。
それくらい末子音はタイ語の重要な要素です。

慣れないうちは末子音まで気が回りにくいのですが、タイ語を正しく伝えるためには必要な知識です。

母音の発音が複数ある

タイ語には同じ音でも口の形が異なる母音があります。
例えば、「う」の発音では日本語のように口をすぼめる形の「う」と唇を横に引いた「う」があります。

母音の口の形が違うだけで、タイ人には伝わりません。
日本語の発音のクセを引きずってタイ語の法則を無視していると、実は口の形が間違っていたなんてこともあります。
タイ文字や英語表記を見て、母音の発音が間違っていないかをチェックするようにしましょう。

母音と子音の数が多い

タイ語は日本語や英語と違って母音や子音の数の多い言語です。
子音は41種類、母音は44種類(内、基本の母音は9種類)もの数があります。

この母音と子音の数の多さがタイ語の理解を難しくしています。

しかし、タイ文字を覚えてしまうと正しく発音すべき音がわかるようになります。
絵文字のような文字を学習するのは大変ですが、日本語の漢字のような次から次へと暗記するものはなく、一度覚えてしまうとそれ以上の学習はありません。

最後に

外国人慣れしているタイ人は日本人のトンデモ発音なタイ語を理解してくれることが多いです。
日本人のタイ語のおかしなクセを彼らが理解している上で、会話が成立していることを忘れてはいけません。

少し上達したかな?と感じ始めた頃、全然通じない場面に遭遇することがあります。
外国人慣れしていない人や下手なタイ語を理解することを放棄している人に出会うと、正確なタイ語を話す力が必要になります。

物件の作業員やローカルエリアの屋台のおばちゃん・おじちゃんとのやり取りは格段に難易度が上がります。
タイ9年目の私は未だに「ガパオライス」の発音が難しくて油断ならないと思っています(日本語の発音に引きずられる・・・)。

色々と書きましたが、タイ語を話すこと、聞くこと、学ぶことをたくさん楽しんでください!

JIROKO

バンコクの不動産賃貸を取り扱う『alphabet home』のアフターケア担当。JICAボランティアを皮切りに、タイ生活は14年目に突入。バンコクの生活で困ったことや役に立つ情報、面白いことをご紹介していきます。

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