2019.08.31
【この記事はタイローカルに詳しい不動産屋さんの『JIROKO』が書いています】
タイは非常に安価で手軽にアヤさんを雇うことの出来る国です。
広いお部屋であっても全ての家事を自分でこなす尊敬すべき方々もいますが、アヤさんにお任せすることで快適なバンコクライフを過ごせる魅力は一考の価値ありです。
今回はバンコクのアヤさんの基本事項と雇用主としての心得をご紹介します。
「アヤさん」とはメイドさんのことで、タイの日本人社会での通称のことです。
タイ語では「メーバーン」と呼び、日本人の奥様や単身家庭の強い味方です。
私もメーバーン雇用歴が6年目に入りますが、色々と思うことはあれどとても感謝をしています。
アヤさんの基本的なお仕事内容は決められています。
アヤさんに要相談になりますが、個人の希望に応じてオプションで仕事内容を追加することも可能です。
日本食の料理等の特殊スキルを希望する場合は、スキルを持ったアヤさんを探さなければいけません。
時間延長が必要なオプションや特殊スキルを要するオプションを追加する場合、アヤさんの給料は通常よりも高い設定になります。
アヤさんはタイ語が基本で、中には英語や日本語が上手な方もいます。
日本語が得意なアヤさんは少し給料相場が高めになります。
先ほど挙げたオプションを追加しない基本的な項目のみを行うアヤさんの給料の相場を記載します。
以前はかなり安価だったアヤさんの給料もタイの発展とともに値上がりして来ました。
単身 3,000〜3,500バーツ(週3回/1回あたり約1時間半)
夫婦 4,000〜4,500バーツ(週3回/1回あたり約2時間)
家族 4,500〜5,500バーツ(週3回/1回あたり約3〜4時間)
家族 7,000〜8,000バーツ(週5回/半日)
家族 12,000〜18,000バーツ(週5日/フルタイム)
家族 12,000〜18,000バーツ(住み込み)
お部屋が広い場合や家族の人数が多い場合は上記の相場よりも高くなる可能性があります。
同じアパート内でアヤさんを共有することで、アヤさんは移動をしなくて済むので、より安く給料を設定できる場合もあります。
また、アパートで斡旋しているアヤさんはアパートが給料を設定・徴収している場合があり、その場合は非常に安価な給料設定だったりします。
なお、住み込みの場合はアヤさん用のお部屋の用意はもちろん、食費や光熱費は雇用主が負担します。
フルタイムの場合はお昼ご飯を提供するか、お昼ご飯代を給料とは別途で支払う必要があります。
まずは自分がアヤさんの雇い主であることをしっかりと理解してください。
紹介元がどこからであれアヤさんを雇うと決めた時点で、自分=社長、アヤさん=従業員という関係性になるのです。
アヤさんの雇い主である自覚を持って接するようにしましょう。
これはアヤさんに限ったことではありませんが、タイでは面接時に綿密に仕事内容を伝えておかなければいけません。
タイ人によくあるのが、面接のときに聞いた仕事内容と違うと言ってすぐに辞めてしまうパターンです。
アヤさんがすぐに辞めることはあまりないかもしれませんが、給料の追加を要求されたり、追加する仕事自体を拒否されることもあります。
面接では次のポイントを確認するようにしましょう。
アヤさんは掃除道具を持たずに来ますので、掃除道具や洗剤類は全て用意をしておく必要があります。
中には掃除機を使いたがるアヤさんもいますので、その場合は用意をしてあげてください。
アヤさんに買って来てもらうように依頼をすることも可能ですが、荷物量が多い場合は実費に追加して帰りのタクシー代金を支払うようにしましょう。
普通の会社と同じように、祝日はアヤさんもお休みです。
ソンクランと年末年始もお休みです。
アヤさんだけ労働条件が特別ということはありません。
仕事の曜日が決まっているせいか、たまにアヤさんに祝日は関係ないと勘違いをしている人がいます。
また、病気や親族の不幸でお休みの場合は、給料から差し引いてはいけません。
一般的に会社でも病欠や忌引で給料が引かれることがないことからも理解できるかと思います。
ただし、それ以外の理由でアヤさんがお休みを希望した場合は、別な曜日に振り替えで入ってもらえます。
振り替えで入ることが難しい場合は、給料からの差し引きも検討して構いません。
普段一生懸命働いてくれているアヤさんに特別休暇をプレゼントしてあげるのも個人的には良いかと思います。
ちなみに、自分の都合でアヤさんをお休みにした場合の振り替えはありません。
夏休みの一時帰国の長期不在のためにアヤさんが休みになっても給料は1ヶ月分を支払うことになります。
アヤさんは個人によっても力量が違うので、色々と言いたくなることがあるかもしれません。
しかし、自分の立場に置き換えて考えてみましょう。
仕事や勉強をする上で、怒られてばかりだとモチベーションが下がります。
もちろん譲れないところはアヤさんに直してもらうことも必要ですが、一度にたくさんの指摘はアヤさんのやる気を損ねてしまうかもしれません。
あまりに口うるさいと、自ら辞めてしまうアヤさんもいます。
気になる点はアヤさんの様子を見ながら、ひとつずつゆっくりと指摘するようにしてください。
アヤさんが掃除中に食器を割ってしまったり、物を破損してしまうことがあります。
私自身も買ったばかりのアイロン台を焦がされたり、ワイシャツをアイロンで黒くされたり、食器を割られたことがあります。
何かを壊されてしまった場合、アヤさんに損害を要求する方がいますが、雇用主としての対応を考えてみてください。
会社で損害を出してしまった場合、従業員が弁償をするでしょうか?
多くの企業ではその責を会社が負うことが多いと思います。
高級なものや壊されたくないものはアヤさんに触らせないように隠しておくこともひとつの防衛手段です。
私は絶対に触って欲しくないものや高級な食器はアヤさんが来る時には片付けるようにしています。
アヤさんによる盗難の件数は非常に少ないですが、それでも少数ながら起きています。
出来心を起こさないためにも、お部屋の目立つところにお金や貴重品を置かない防衛策は必須です。
会社勤めの人間に当たり前のように昇給があるように、アヤさんの雇い主はアヤさんの昇給を検討すべきでしょう。
必ず昇給しなければいけないというルールはありませんが、可能であれば年に1度数百バーツの昇給をしてあげると喜びます。
年末のボーナスは必須です。
元々の給料の金額にもよりますが、相場としては給料1ヶ月分、最高で給料2ヶ月分と言ったところでしょうか。
ボーナスの金額はアヤさんの働きに応じて金額を決めてください。
最低でも給料の3分の一程度(単身のご家庭で1,000バーツ、家族のご家庭で数千バーツ程度)は渡すようにしましょう。
間違っても数百バーツを渡してボーナスをあげたなんて思わないでください。
それはもう日常のチップの範疇です。
ソンクランには他県の実家に帰るアヤさんも多いので、お車代として500〜1,000バーツ程度を渡してあげると喜びます。
会社における社長が自分の従業員に対して感謝をするように、アヤさんに対して感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。
何か特別なことをしてもらったり、残業をしてもらった場合にはチップをあげてください。
日本に一時帰国をして戻って来るときの日本のお土産も喜ばれます。
もちろん「いつもありがとう」と感謝の言葉を伝えることも大切です。
アヤさんに気持ち良く働いてもらう配慮を雇用主として忘れないようにしてください。
基本的には給料1ヶ月分×勤続年数が一般的です。
アヤさんの次の勤務先を見つけてあげるのも大切なことです。
本帰国のときには色々な家電や家具、小物が不要になるかと思いますが、リサイクルショップに全て売却せずに、アヤさんに譲ってあげる分も検討しましょう。
アヤさんを雇ってみたけれど、許容できない点や不審な点が出て来るかもしれません。
もちろんアヤさんのスキルには個人差があって、完全無欠のアヤさんからちょっと掃除下手のアヤさんまでいますが、雇ってはいけないNGラインは存在しています。
次のような勤務態度や発言がある場合には解雇も検討したほうが良いかもしれません。
こちらの希望で解雇を通知する場合は、1ヶ月前の解雇通告が必要です。
上記のような理由であっても、解雇の理由を正直に話す必要はありません。
別なアヤさんを雇う予定があっても、「家事を自分ですることになった」等を伝えれば十分納得してもらえます。
バンコクの不動産賃貸を取り扱う『alphabet home』のアフターケア担当。JICAボランティアを皮切りに、タイ生活は14年目に突入。バンコクの生活で困ったことや役に立つ情報、面白いことをご紹介していきます。