タイ・バンコクのコンドミニアム購入を勧めない理由 2020年

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10年以上バンコクの不動産賃貸に携わっている私自身が感じる「バンコクのコンドミニアム購入のマイナス点」を詳しく解説しています。この記事を書くきっかけになったのは、コンドミニアムの賃貸を依頼される日本人オーナー様がバンコクの不動産事情について無知なことが多いと感じたためです。日本円で数千万のお買い物になるコンドミニアム投資。今後ご購入をご検討される日本人の方が、騙されて失敗しないように、インカムゲインの観点を中心に注意すべき点を説明しています。ただし、この記事は私の個人的な見解や意見も多々ございます。お客様の目的や物件によっては、必ずしもバンコクのコンドミニアム購入をおすすめしないということではありません。あくまでも見解の一つとしてご参考にしていただけましたら幸いです。

 コンドミニアムの物件として
欠陥住宅

タイ・バンコクの物件は、アパートもサービスアパートも含め日本の建築基準法の基準で言えば、全物件が欠陥住宅と言っても過言ではない。どんな高級物件でも配管に問題があり水漏れは頻繁に起きるし、外壁にはクラックが入ることも多い。コンドミニアムにはデベロッパーによる分譲後の保証期間があるが、通常は1〜5年程度しかない。そんな欠陥の多い物件の1室をあなたは何千万円も出して購入したいだろうか。

大型修繕が難しい

タイ・バンコクの物件は施工の問題もあり明らかに日本のマンションよりも老朽化が早い。築20年も経てばエントランスやファシリティに古さを感じる物件が多く、賃貸市場での競争力は低下する。バンコクの賃貸市場では築年数が大きく人気に影響するのだ。アパートやサービスアパートの場合、築年数が経ち人気に陰りが見えれば「大型修繕」という手段で新築物件のように生まれ変わる方法があるが、複数のオーナーがいるコンドミニアムでは中々そうはいかない。そうなれば、オーナーが自分の部屋をどれだけ魅力的に保っていても物件全体の評価が落ち安定した賃料を得ることは難しくなるだろう。

タイならではの害虫問題

年間を通して暑いバンコクでは、常に害虫問題(ゴキブリやシロアリ)が付き纏う。特にアパートやサービスアパートに比べ管理体制が脆弱なコンドミニアムでは、築年数が経てば経つほど害虫リスクは高くなる。物件にもよるが、築年数が10〜15年経過したコンドミニアムは害虫問題を抱えることが多く、その噂は賃貸市場に一気に広まる。どんな好立地のコンドミニアムでも、賃貸物件としての安定した競争力は15年程度と考えるほうが良いだろう。害虫リスクを気にする賃借者は多く、タイの賃貸市場では立地や物件のグレードと同じくらい築年数は優先される。コンドミニアムに限ったことではないが、タイ・バンコクの物件は築年数を追うごとに賃貸市場での競争力が弱くなることは考慮するべきである。

部屋の狭さ

販売価格の上昇の影響もあり、最近のコンドミニアムの部屋は狭いことが多い。10年前であれば、1Bedroomは50〜60sqm、2Bedroomは80〜100sqm程度が主流だったが、ここ最近完成したコンドミニアムの殆どは、1Bedroomは30〜40sqm程度、2Bedroomだと50〜60sqm程度である。ベットが大きく間取りが悪いタイの物件では、1Bedroomで40sqm以下、2Bedoomだと60sqm以下の部屋の賃貸は非常に難しい。アパートやサービスアパートも最近の物件は狭くはなってきているが、賃貸しやすいよう新築物件でも1Bedroomは50sqm以上、2Bedroomは80sqm以上とある程度の広さは確保してある。新しくても窮屈感を感じる部屋は賃貸物件として人気がない。

 見極めが難しい

バンコクの不動産業に長く携わる私でも、バンコクのコンドミニアム投資は本当に難しいと痛感することが多い。

物件の選定

上記でも述べた通り、築年数が経っている物件は人気に陰りがあり、築浅物件は間取り(狭さ)の問題がある。築浅物件でもある程度広さが確保されたコンドミニアムもあるが、そのような物件はBTSプロンポン駅周辺やトンローの中心地にあるような高級物件に限られ分譲価格が非常に高額になる。高額な物件になれば利回りを考慮し賃料を高額で貸し出しする必要があるが、そうなれば管理体制が整っているアパートやメイドサービス付きのサービスアパートがライバルになることを考慮しなければならない。

立地の問題

BTSアソーク駅から一駅のプロンポン駅周辺であれば賃貸物件として競争率が高いが、アソークから同じ一駅のナナ駅であれば夜のイメージが強く賃貸が非常に難しくなる。同じトンロー駅から徒歩10分の場合でも、スクンビット53通りなのか、スクンビット57通りなのかで車の利便性に大きな差がある。また、トンロー駅から偶数(南)側の通りに徒歩10分の立地であれば不便な立地となり人気物件になることはないだろう。100m離れただけ、道を渡っただけで大きく利便性が異なるバンコクでは、長く住んでいないと良い立地の判断は難しい。また、中心地や開発が激しいエリアの場合、周辺に騒音を出すようなパブやクラブは出来ないか?隣に大きな建物は出来ないか?など考え出すとマイナス点は無限にある。

特に新駅は注意

外国人駐在員の殆どは、BTSチットロム駅からBTSオンヌット駅の間、もしくはサトーンエリアに住んでいて、それ以外のエリア(駅)に住むことは稀である。近年BTSが伸びた関係で、新しい駅周辺に大型コンドミニアムが数多く建設されているが、実際に私は行ったこともなければ空室や賃料を調べたこともない。タイ人であれば賃貸するよりも購入する選択肢になるだろうし、予算のある外国人駐在員には全く人気がないのが現実である。販売価格はバンコクの中心地の半額程度なので比較的手を出しやすい価格であるが、実際にそのようなエリアのコンドミニアムがプレセールで完売することは殆どないし、完成後のリセールで値上がりする可能性も低い。日本のように新しい駅周辺の物件の価値が上がると考えるのは非常に危険である。

コンドミニアムの管理会社

これはアパート、サービスアパートでも言えることだが、どこの管理会社が管理するかで賃借者や仲介業者受けが異なることがある。賃借者や仲介業者に好まれない管理会社が管理することになれば、その物件が人気物件になることは難しくなる。また、同じ管理会社でもマネージャー次第では仲介業者が紹介を嫌がる可能性もある。さらに言えば、「日本の不動産会社が携わった」、「日系業者が管理している」は、賃貸やリセールで大きなプラスになることはない。日系の会社が関わっていても人気がないコンドミニアムは数多く存在する。

以上のことから、バンコクの不動産に長く携わっていてもコンドミニアムの見極めは非常に難しい。ましてや日本にいる日本人の方では尚更だろう。

 コンドミニアムは賃貸物件として人気がない
アパートとサービスアパートの存在

バンコクはコンドミニアム(分譲マンション)以外に、物件を分譲せず一人のオーナーが物件全体を所有する「アパート」と「サービスアパート」という物件種別が存在する。そして日本人も含めた外国人は、コンドミニアムよりもアパートやサービスアパートを賃貸物件として好む傾向にある。
・何故か?
アパートやサービスアパートは一人のオーナーが物件の全室を管理するため、コンドミニアムよりも圧倒的に管理体制が整っている。室内で問題が起こった場合、その物件の作業員が室内の問題に迅速に対応してくれるし、冷蔵庫や洗濯機、テレビが壊れても、物件内にストックが用意してあるため基本的に即日対応が可能なのだ。
・ではコンドミニアムは?
あなたがコンドミニアムの一室のオーナーだったとして、賃貸している部屋で水漏れやエアコンの故障などの問題があった場合に迅速に対応できるだろうか。答えはノーだ。コンドミニアムの管理事務所は、室内での問題の殆どに対応してくれない。あなたの部屋を管理会社に委託していたとしても、アパートやサービスアパートほどの迅速な対応はできない。エアコンの修理にしても、配管の水漏れにしても外部の業者を手配しなければならないため、手配に時間が掛かるし賃借者と時間を合わせる必要もある。また、コンドミニアムの管理事務所は、電化製品のストックを持ち合わせていない。管理委託される管理会社も電化製品のストックを持ち合わせていないことの方が多い。コンドミニアムのオーナーもしくは委託している管理会社がどれほど努力をしても、アパートやサービスアパートの対応に勝ることはないのだ。バンコクの賃貸市場では、そのことを賃借者も仲介業者も重々理解している。

単身者はサービスアパートを好む

サービスアパートはホテルのようなメイドサービスが家賃に込みになってお、光熱費が掛からないところが多い。また、キッチン用品やリネン類など生活に必要なものは殆ど揃っている。お部屋の問題発生時の対応もホテル並に早いため日中不在にすることが多い単身者にとっては安心があり人気がある。それに比べコンドミニアムは問題発生時の対応に時間が掛かることも多く、メイドサービスも光熱費も別途支払う必要がある。コンドミニアムは、サービス面でも管理面でも圧倒的にサービスアパートに劣っているのだ。

お子様連れの家族はアパートを好む

スクンビットの家族用のアパートは、住居者の殆どが日本人家族になるため単身者で住む人が極端に少なく物件内に奥様やお子様のコミュニティも存在する。また、子供の遊び場もコンドミニアムより充実しているところが多しアパートの方が部屋も広い。管理面でも圧倒的にアパートが優位で、問題発生時の対応も早く、害虫リスクもコンドミニアムよりも低い。家族用物件に関してもコンドミニアムは圧倒的に分が悪いのだ。

コンドミニアムを借りれる駐在員は限られる

タイでは「法人契約」と「個人契約」を採用している企業がある。法人契約の場合、オーナー側は「TAX INVOICE」の発行をしなければならない。「TAX INVOICE」を発行するということは、賃貸で収入があることを証明することとイコールになるため納税義務が発生する。タイの法律上、賃貸で収入があれば勿論無税ではないのだ。そのため、ほとんどのコンドミニアムのオーナーは「TAX INVOICE」の発行を必要としない「個人契約」の賃借者のみをターゲットにしている。ただし、日系企業の約半数は「法人契約」を採用している。また、個人契約の企業でも、管理面の不安や駐在員の不正防止の観点からコンドミニアムの賃貸を禁止している企業も少なくない。

 実質利回りが低い

タイのコンドミニアムの表面利回りは、新築物件で4〜5%、中古物件で5〜7%が相場と言われている。

コンドミニアムの管理費

当たり前のことだが、日本のマンションに管理費(共益費)や修繕積立金があるように、タイのコンドミニアムでも毎月の管理費が発生する。管理費は1sqmあたりで請求されるため広ければそれだけ管理費も高くなる。物件によって管理費は異なるが、コンドミニアムの管理費は年々上昇傾向にあり、2015年以降に建てられたコンドミニアムは「50Baht/1sqm」程度となっている。また、タイでは管理費を賃借者に負担される習慣はなく管理費はオーナー負担となる。

契約期間とコミッションの習慣

タイは賃貸契約は基本的に1年契約と短い。仲介業者へのコミッションは成約時に1ヶ月分(100%)、更新時にも1ヶ月の家賃の50%程度のコミッションを支払うのが相場となる。また、更新時に賃借者が更新手数料を支払う習慣はないため、年間の家賃収入は12ヶ月分ではなく11ヶ月分程度で計算する必要がある。更新時のコミッションに関しては、支払わない選択肢もあるが、更新コミッションを支払わないオーナーは仲介業者に取り扱いを避けられる可能性が高くなる。

安定した賃貸が難しい

上記で述べた通り契約期間の短さに加え、基本的に外国人駐在員は3〜5年程度で入れ替わる。また、タイの不動産市場では仲介業者が引越し費用を負担することが一般的であるため賃借者の引越し率は非常に高く、賃借者の定着率は日本よりもはるかに低い。しかもコンドミニアムはオーナーによって部屋の内装が異なるため、内覧しないで成約になることはない。内覧のタイミングが退去後になることやクリーニング期間などを考慮すると、賃貸ニーズが高い部屋でも賃借者が入れ替わる場合は短くても2ヶ月程度は空室になる。

問題解決に掛かる費用はオーナー負担

管理費とコミッション以外にオーナーの大きな出費になるのが、部屋の問題発生時に業者を手配する費用だ。物価が安いと思われがちのタイだが修理費用は決して安くない。タイでは、家具や電化製品付きでの賃貸が基本になるため、エアコンや洗濯機などの電化製品が壊れた場合の修理費やクリーニング費用もオーナー負担になる。しかも、日本のマンションに比べ問題発生率が非常に高いし、一度で直らないことも多い。また、新規契約時や1年ごとの更新時には賃借者から「ソファー・カーテンのクリーニング」や「電化製品の買い替え」などのリクエストが届くことも多い。勿論オーナーはリクエストを断ることもできるが、リクエストを受けないと「契約にならない」「引越される」リスクがある。

主な修繕費用(1箇所/1回)

エアコンの修理:1,500〜4,000 Baht
エアコンの清掃:1,000〜2,000 Baht
シンクの水漏れ:1,000〜3,000 Baht
洗濯機の修理 :1,500〜8,000 Baht
給湯器の修理 :1,000〜4,000 Baht

主な購入費用

薄型テレビ:12,000〜20,000 Baht
縦型洗濯機: 6,000〜12,000 Baht
横型洗濯機:15,000〜30,000 Baht
冷蔵庫  :10,000〜30,000 Baht
マットレス: 6,000〜12,000 Baht

 今後、物件価値の上昇は見込めない
購入価格に対する利回り

(参照:International Monetary Fund – World Economic Outlook)

タイのコンドミニアムの販売価格は上昇傾向にある。直近の10年では約80%も上昇しているが、私はこれ以上の値上がりは難しいだろうと考えている。実は日系企業の駐在員の家賃補助額は、直近の10年で殆ど上がっていない。完成車メーカーの直近10年の家賃補助額の上昇率は平均値で5%程度、大手商社は平均で10%程度に留まっている。従ってバンコクの物件の賃貸価格も殆ど上がっていないのだ。販売価格の上昇に合わせてコンドミニアムの家賃価格が今以上に上昇すれば、人気アパートや高級サービスアパートがライバルになるし、駐在員の家賃補助額では借りること自体が難しくなる。実際にバンコクのコンドミニアムの賃貸価格は上がっていないどころか、スクンビットで人気のコンドミニアム「Quattro」「HQ」「Bright」「Noble Refine」などの賃貸価格はむしろここ数年で10%程度下落している。単純に考えて、タイのコンドミニアム投資(インカムゲイン)の利回りは年々悪くなっている。

近年のコンドミニアムは完売しない

十数年前は、購入後数年経てば値を上げるコンドミニアムも少なくなかった。また、プレセールで購入し完成後のリセールで売り抜ける手法で商売が成り立つくらい不動産投資という観点からは良い市場であっただろう。ただし、供給過多と言われる今のバンコクの不動産市場はそう甘くない。近年完成したコンドミニアムはプレセールで完売しないことが多く、完成後にセール価格で販売していることも多いのだ。

コロナの影響は大きい

バンコクの賃貸市場は今後更にコロナの影響を受けるだろう。その中でも最も影響を受けるのが間違いなくコンドミニアムである。外国人投資が入国できないことは販売に大きく影響がある。また、入国規制により物件を賃借する外国人が少ない状況では、アパートやサービスアパートが家賃の値下げを行っているため、コンドミニアムの賃貸は非常に難しい状況にある。上記でも述べている通り、サービスアパートやアパートは賃貸物件として圧倒的にコンドミニアムよりも人気があるのだ。

 まとめ

タイのコンドミニアム投資(購入)は、その他にも「耐震・免震設計になっていない」、「税金の徴収が厳しくなったら」、「タイのGDPの成長率の悪さ」、「タイの高齢化問題」、「タイの政治不安」など不安要素が多くあります。コンドミニアム購入の良い面やメリットについては紹介している方が多いのでここでは割愛いたしますが、購入を検討される場合はメリットとデメリットを正確に把握し熟考されることをおすすめいたします。

BANGKOK-TIMES

バンコク不動産歴11年の経験から、バンコクの不動産情報を中心にバンコク生活が豊かになる情報をお届けします!

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